01 平生 進一

三菱地所の社員が口を揃えて言う。「後にも先にも、平生のようなアイデアマンはいない。」メックecoライフの代表取締役として、この吉祥寺プロジェクトの陣頭を取る平生進一。エコマンションというテーマは出発点に過ぎず、また一つ新しい住まいのあり方を模索する旅がはじまっている。
目指すは“創エネ”。そのプロトタイプとなるマンション。

Q.1 このプロジェクトに携わった経緯は?

これはたまたまだと思うんですが、僕は三菱地所の中で本流ではなくて、いつもなんか新しいことをやらされてきた人間なんです。丸の内の開発とかっていうんじゃなくて、地域開発といって山を切り崩して住宅地にしてここに小学校をつくるかとか、リゾート開発でスキー場のロッジつくったり、マンションの品質管理のしくみをつくったり。商品企画室という部署では、立ち上げのときから室長をつとめたのですが、「どうしてマンションってこうなんだろう?本当はこうあっていいはずなのに…」という思いを書き溜める「Why not?」という活動をやっていました。部下と一緒に「マンションの玄関ってなんで全部一緒なの?」とか、「表札ってどうしてあんなにダサいの?」とか。最終的に全部で254個になったかな。他にも面白いと思うマンションをリサーチしたり、「あったらいいな」という暮らしを具体的に提案する広報誌の記事をつくったりもしました。何か新しいことを考えるのは好きだし得意。だから、「エコマンション」という新しいテーマが出てきたとき、平生にやらせよう、ということになったのだと思います。

Q.2 実際にプロジェクトが動きはじめてどうでしたか?

当初は非常に消極的だったんです。エコマンションだからといって、省エネとかエコの設備をつけて売るっていうことだけだとあまり意味がないと思うし、やるんだったら販売方法から何から、いろんなメッセージが加わったマンションじゃなきゃいけないはずだと思いました。例えば、今までのマンションは、“青田売り”といって、マンションが完成する前に、パンフレットをつくって、モデルルームをつくって、実物がないまま売ってしまう。一度パンフレットをつくったらそれに縛られて仕様を変えられないっていうのは本質的じゃないし、そんな売り方がずっと続くとは思えないから変えるべきだと思っていた。住む人のライフスタイルはどんどん変わっていくはずだし、マンションをマンションだけで語る時代ではなくなっている。ライフスタイルが都市型になれば、都市の機能を使う中でのマンションの住機能はどうあるべきか、そういう形で考えるべきだと思っています。

Q.3 どういう思いでこのプロジェクトに取り組んでいますか?

たまたま建築家の飯田先生と出会って、このプロジェクトのことを相談したら、すぐに模型をつくってプランを提案してくれました。一目見て、これは面白いなと思った。見た瞬間に、その物件の意図が読み取れたんですね。この屋根、この棟がなぜ下がっているか、法規制を守りつつ、容積を最大限に確保するためにこういう形をしているんだなとか。普通のマンションは、できるだけ高い建物を建てようとして、北側の隣家の日照権を侵さないように南側に寄せて立てたりするんだけど、このマンションは周辺にぐるっと空地を確保して、住む人の眺望や足元のゆとりを確保している。これも今までにない考え方だなとか。これは僕の思いなんだけど、あれもこれも条件を充たすことばかり考えて、心がこもってないというか、何も特徴がないというか、そんなマンションはつくりたくないと思っています。ちゃんと理由があって、今までのマンションとは違うものをつくる。その売り方も、ちゃんと企画のプロセスを記録してそれをお客様に伝えたいと思っています。

Q.4 このプロジェクトの将来ビジョンは?

エコや省エネに関しては、このプロジェクトの母体となっているメックecoライフという会社で随分研究しています。マンションのエネルギー消費って、空調よりも給湯の方が大きいんだ、じゃあこれからどんな設備を考えていくべきだろう、とか。エネルギーを無駄に使わないで豊かな生活をしていく社会、そこに必要な技術について、このプロジェクトを通じて考えさせられることがとても多い。エコの設備に関しては、このマンションにもいろいろと盛り込んでいますが、メックecoライフの大きなテーマとしては、省エネよりも“創エネ”を目指しています。新興の電力会社と提携して、効率的かつリーズナブルに電気を供給するシステムの事業化を進めていて、このマンションにも、そのインフラとなる太陽光パネルを導入しています。エネルギーを自らつくり出し、一つひとつのマンションじゃなくて、全体のしくみの中で効率化していく。このプロジェクトは、そんな将来像へのプロトタイプでもあります。

最後に、吉祥寺プロジェクトに興味を持った方にひとことメッセージを。

色々と理屈はありますが、何よりも住んだ人に幸せになって欲しいですね。答えになってないと思いますけど(笑)。住んだ人に1年2年経ってびっくりさせてもらえると嬉しいです。「そんな風に住んでるなんてすごい!」って。この物件について自分なりに咀嚼していただいて、実際に住んでみてこうだったと、ベラベラ喋ってくれて、その喋ってる内容が、ワクワクするようなことだったら最高ですね。男性だったら、住まいは女房のもので、私は寝に帰るだけですよ、ということではなくて、「住むって素晴らしい!」と熱く語ってもらいたいわけですよ。ここは良くないよねとか、ここはすごく気に入ってる、とか。そういう人たちに住んで欲しいなと思います。

※社名・所属部署・肩書・名称などは取材当時のものです

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