「型枠用合板のトレーサビリティ普及促進協議会」設立
2026年3月18日
型枠用合板のトレーサビリティ普及促進協議会
(事務局)三菱地所レジデンス株式会社
2024年4月発足の「型枠合板のトレーサビリティ普及促進勉強会」(以下、勉強会)に参加する、施工会社、型枠工務店、木材卸会社、木材輸入商社等からなる56社・団体は、協議会参加者の増加および分科会組成などの活動範囲の拡大に伴い、持続的かつ実効性のある体制構築のため、この度、勉強会を改め、「型枠用合板のトレーサビリティ普及促進協議会」(以下、協議会)を設立しました。
今後協議会は、型枠用合板のトレーサビリティ確保の認証スキームを広く普及・促進することで業界共有基準の策定を目指し、本格的な活動を展開してまいります。
協議会設立の背景と経緯
型枠用合板は、建設現場においてコンクリートの型枠に使用されますが、その木材の供給元や製造過程の透明性が十分に確保されていないケースが多く、合法性や持続可能性に対する懸念も生まれていました。こうした課題を受け、2024年に三菱地所レジデンス株式会社が事務局となり、「型枠用合板のトレーサビリティ普及促進勉強会」を発足しました。勉強会では、国際NGOである森林管理協議会(FSC®)※1等の森林認証制度や公益社団法人森林・自然環境技術教育センター(JAFEE)の自主認証制度を活用し、型枠用合板の持続可能性と合法性を担保するための手法について理解を深めるとともに、国産材の活用促進や運用体制の整備といった実務に即した意見交換を重ねてきました。
活動を通じ参加企業・団体は約50社を超え、認証制度の普及と定着に向け継続的な体制構築の必要が高まったことから、勉強会参加各社は組織を協議会に改めることとしました。

新築建築物において、持続可能性に配慮した木材の調達基準※2にある型枠用コンクリートパネル※3を採用し、トレーサビリティ(trace(追跡)+ability(能力)=その木材がどこでどうやって作られたのかを追跡できる)の確保を図る目的で各種認証制度が設けられています。一連の履歴を追跡するためには、伐採から供給に至る各流通段階において、個別の事業者が認証を取得している必要があります。
現在、森林から商社までの流通段階においては、FM認証やCoC認証によって認証を繋ぐ体制が整っています。しかし、以降の型枠工務店による加工から建設現場での施工に至る工程では、商慣習上認証の取得が定着しておらず、追跡が途切れ未認証経路となるという実態があります。
本協議会では、この未認証経路においてFSC®やJAFEEが定める審査・認証を活用することで、使用する木材の持続可能性や合法性について透明性をもって社会に説明できるようにし、建物の竣工に至るまでの確実なトレーサビリティを確保する仕組みづくりを推進しています。
- ※1Forest Stewardship Council®(森林管理協議会、FSC®):
環境保全の点から見て適切で、社会的な利益にかない、経済的にも継続可能な、責任ある森林管理を世界に普及させることを目的とする国際的な非営利団体です。FSC®は、Forest Stewardship Council®の登録商標です。
- ※2持続可能性に配慮した木材の調達基準:
持続可能性に関わる各分野の国際的な合意や行動規範等を参考に、持続可能性に配慮した調達を行うための基準や運用方法について定めたものです。
- ※3型枠用コンクリートパネル:
建物を建築する際使用するコンクリート型枠用のパネル。合板と桟木でパネルを組み、そこに生コンクリートを流し込んでコンクリートを成形します。
協議会の目的・活動内容
協議会は、建設業界における型枠用合板の合法性・持続可能性を確保するための認証スキームを広く普及させることを目的としています。資材の供給元や製造過程の透明性を高めることで、適正な資材利用を促進し、環境負荷の低減と持続可能な社会の実現に寄与することを目指します。
協議会全体の主な活動
- トレーサビリティに関する情報共有・意見交換
型枠用合板のトレーサビリティに関する最新情報や現場での課題を共有し、業界内での理解を深める場を設けます。
- 作業手順書の共通化
工事現場での認証作業における手順を標準化し、誰もが同じ基準で作業対応できる体制を整備します。
- システム認証取得の推進
JAFEEによる「木材トレーサビリティDD審査認証事業」など、第三者認証制度の取得を支援し、制度利用を促進・普及します。さらには、森林管理協議会(FSC)の連続プロジェクト認証なども視野に入れ、取り組みを進めていきます。
- 事例研究と合理性に関する相互認識の深化
実際の取り組み事例をもとに、第三者認証制度の合理性や実効性を研究し、改善点を検討します。
- 関係行政機関・団体との連携
国や自治体、関連団体との情報連携や制度整備に向けた協働を進め、建設資材のサプライチェーンにおける透明性や、持続可能な木材利用に対する社会的な信頼の向上を目指します。
- 普及啓発活動(セミナー等)
3つの分科会による実務的課題の解決
現場実務における具体的な課題を解決するため、協議会内に3つの分科会を設置し、専門的な検討を進めています。
- システム認証分科会
現在主流である個別のプロジェクト認証に加え、新たに事業者自体の社内管理体制を認証するシステム認証の実現を目指します。プロジェクト認証では建設現場ごとに型枠用合板を分別する必要がありましたが、システム認証の導入により、複数現場の認証材をまとめて管理することが可能になります。実務負担を減らす新たな選択肢として、統一ルールとなる「仮)システム認証版 標準作業手順書」の策定を進めています。
- 国産材活用検討分科会
将来的な木材供給の変化を見据え、国産材(ヒノキ、カラマツ等)の型枠用合板活用の可能性を検証していきます。現場での課題(工期やコストへの影響など)を収集し、メーカーとも連携しながら型枠材としての活用トライアルを推進します。
- 認証制度理解・運用検討分科会
サプライチェーン全体で確実なトレーサビリティを確保するため、認証機関の審査基準を現場の実務に落とし込み、受入時の伝票確認や加工時の識別表示など、各工程で誰が何を記録すべきかという具体的なチェックポイントを明確化しています。また、事業者が型枠用合板の加工場や外注先に対してルールが正しく運用されているかを定期点検する監査体制の構築を支援し、第三者認証の取得を後押しします。
今後の展望
協議会では、今後も分科会活動等を通じて、型枠用合板のトレーサビリティ制度の普及と定着を目指します。具体的には、建設現場での効率的な運用指針となる「仮)システム認証版 標準作業手順書」を2026年度内に策定し、サプライチェーン全体での平準化を図ります。また、国産材の活用促進に向けたトライアル施工や、認証制度の理解を深めるための内部監査体制の整備など、実務に即した基盤作りにも取り組みます。今後は、行政や認証団体との連携も強化し、業界全体での信頼性向上と持続可能な資材利用の実現を目指しています。
構成企業(カテゴリ別・五十音順/2026年3月現在)
| 施工会社 | 川口土木建築工業株式会社、木内建設株式会社、清水建設株式会社、大豊建設株式会社、TSUCHIYA株式会社、東亜建設工業株式会社、株式会社長谷工コーポレーション、不二建設株式会社 等 |
|---|---|
| ハウスメーカー | 大東建託株式会社 |
| 型枠工務店 | 株式会社新井工務店、有限会社井定工務店、株式会社大島組、小林建設工業株式会社、株式会社小山工務店、株式会社榊󠄀組、株式会社佐藤型枠工業、株式会社柴田建設、株式会社匠建工業、将盛建設株式会社、株式会社白戸工務店、城元躯体工業株式会社、株式会社鈴木工務店、株式会社SORYU、株式会社総和建設、株式会社竹之内工務店、株式会社舘工務店、株式会社長南工務店、株式会社手塚工務店、株式会社似鳥工務店、野妻建設株式会社、宝盛建設株式会社、株式会社松田組、有限会社嘉孝建設、株式会社吉田工務店、米澤興業株式会社 等 |
| 型枠加工会社 | 有限会社桃園 |
| デベロッパー | 東京建物株式会社、野村不動産株式会社、三井不動産レジデンシャル株式会社、三菱地所レジデンス株式会社 等 |
| 商社・メーカー | セイホク株式会社、双日建材株式会社、株式会社東京木工所、株式会社日新、ペリージャパン株式会社 等 |
| オブザーバー | 認定NPO法人国際環境NGO FoE Japan、住友不動産株式会社、三菱地所株式会社 等 |
【参考】JAFEEの木材トレーサビリティDD事業について
JAFEE(公益社団法人 森林・自然環境技術教育研究センター)は、木材の合法性や持続可能性を第三者の立場で審査・認証する「木材トレーサビリティDD(デューデリジェンス)審査認証事業」を展開しています。この事業は、木材を取り扱う事業者が自社の環境価値を高めるため、木材の合法性を確認するDDを実施し、その適合性をJAFEEが審査・認証するものです。
【参考】三菱地所レジデンスにおける型枠用合板のトレーサビリティ認証スキームについて
協議会の事務局である三菱地所レジデンスは、2020年より型枠材におけるトレーサビリティ確保に取り組んでおり、現在30物件以上で対応実績を積んでいます。さらに、2030年度には全物件でトレーサビリティ確保を実現することを目標としています。


以上